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読む・楽しむ もっと制作者フォーラム
各地で行われた制作者フォーラムの模様を、参加者の声を交えて伝えます。

2016年12月13日

もっと  制作者フォーラムinやまぐち

レポート+寄稿

 2016年10月29日(土)、山口情報芸術センター(YCAM)にて、中四国制作者フォーラム実行委員会と放送文化基金が主催する「中四国制作者フォーラムinやまぐち」が開催されました。
 このフォーラムには、鳥取、島根、広島、山口、徳島、香川、岡山、愛媛、高知県にある全民放とNHK、計32局が協力し、制作者を中心に約50人が参加しました。
 ミニ番組コンテストには31作品が参加。審査は、阿武野勝彦氏(東海テレビ報道局専門局長)、白川 東一氏(KOO-KI 映像ディレクター)、夜久 恭裕氏(NHK報道局「おはよう日本」ディレクター)の3名に審査をしていただきました。
 引き続き、3人それぞれが公演を行いました。「ローカル局でなにができるのかを考えること」「自分たちが楽しんでやること」が大事であるという話がありました。また、ミニ番組の制作者に向けて、毎日の1分間ニュースのような短い番組をつくるなかでも、必ず発見できることがある。そのことを常に意識して、楽しむことを忘れないでほしいなどのアドバイスがありました。

 ミニ番組コンテストで優秀賞を受賞した山田晴香さん(瀬戸内海放送)、審査員の白川東一さん(映像ディレクター)、実行委員の竹村昌浩さん(山口放送)に、フォーラムの感想をお寄せいただきました。

優秀賞受賞
「玉野光南ナインから学んだこと」
山田 晴香 (瀬戸内海放送 報道クリエイティブユニット 記者)

 講評で「インタビューから選手の人柄の良さが伝わってきた」と言っていただけたことが、私にとっては何よりもうれしいことでした。
 決勝戦の2日後に話を聞いたとき、選手たちはまだ傷が癒えていないはずなのに、あの場面で感じたことを丁寧に振り返ってくれました。「審判は悪くない、負けたのは自分たちのせい」と、誰一人として他者を責めることなく前を向こうとしていて、心の強さを感じました。高校卒業後も野球を続ける選手が多いため、彼らのこの先の野球人生が素晴らしいものであるように願いながら制作しました。
 一方で、フォーラムの他の出品作で高校生が号泣している映像を見て、私の作品には「リアルタイムの映像の強さ」が不足していたと感じました。その時にしか撮れない映像をより意識し、さらに感情に訴える作品づくりに励んでいきたいと思います。

ミニ番組コンテスト審査員
「グローカル」
白川 東一 (KOO-KI 代表取締役副社長 映像ディレクター)

 「グローカル」という言葉が使われて久しいですが、今回フォーラムのテーマである「起こせ!ローカルの革命じゃあ!!」はそんな言葉が当てはまるフォーラムを目指したのではないか。  地方だからという思いで作るのではなく「とにかくみんなを驚かせたい」そういった思いが強く感じられるかどうか。その基準で審査させていただいた。幾つかの作品はそういった思いを感じつつ、気になる事もあった。それは「誰が作っても同じでは?」というもの。作る上で、様々な事情がある事は承知だが、見ている人には全く関係のない事。「~してやろう!」という思いにフォーカスをあててほしいと感じた。とはいえ、その後の懇親会で制作者の方達から熱い思いを感じる事もできた。来年、再来年ときっと良い作品が、この中四国から生まれてくるんだろうなと。  同じ作り手として刺激をいただき、こういった機会をいただいた事に感謝。
 次はライバルとして出会いたい。そんな思いを起こさせるフォーラムでした。

実行委員
制作者の志を問うフォーラムに
竹村 昌浩(山口放送 取締役報道制作担当)

 山口県は平成30年に明治維新150年を迎えます。幕末日本が近代化の波に晒され沸騰する中、数えで25歳の高杉晋作は身分にこだわらず志を持った者を集めて奇兵隊を結成。近代国家に生まれ変わる原動力となりました。メディアが増加する中でローカル局をより輝かせるのは、自由な発想と状況を跳ね返す若い制作者のエネルギーです。その思いがテーマ「起こせ!ローカルの革命じゃ」にこめられました。ゲストは自分の方法で挑戦し続ける制作者です。東海テレビ・阿武野勝彦プロデューサーはドキュメンタリーを映画にして世に問い、NHK報道局・夜久恭裕ディレクターは出版で社会にムーブメントを起こし、空気・白川東一ディレクターは福岡の地から世界に映像を発信しています。ゲストと共に志を語り合う熱い一日でした。