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2015年11月5日

「異文化理解とメディア」のシンポジウムに行ってきました!

レポート

左:音 好宏 上智大学教授、中央:ファティア・アブディさん、 右:グリニス・ピアケス=カパさん

 2015年10月24日(土)、国連創設70周年とNHK日本賞(教育コンテンツの国際コンクール)50周年記念シンポジウム「異文化理解とメディア」が上智大学の四ツ谷キャンパスで開催されました。

 前半は、今年の日本賞のグランプリ番組「キミの心の“ブラック・ピーター”」 を視聴した後、この番組の制作者のファティア・アブディさん(オランダ)、昨年の日本賞企画部門最優秀賞(放送文化基金賞)受賞者のグリニス・ピアケス=カパさん(ナミビア)、上智大学の植木安弘教授、国連広報センターの根本かおる所長、上智大学の音好宏教授(モデレーター)によるパネルディスカッションが行なわれました。

「キミの心の“ブラック・ピーター”」
 黒塗りのメイク、少しおどけた姿でサンタクロースとともに歩くブラック・ピ-ター。オランダのクリスマスに欠かせない伝統的なキャラクターであるブラック・ピ-ターは、植民地時代から続く人種差別のなごりなのか、それとも伝統行事の中の慣習なのか。オランダ人の心の中に潜む差別意識に問いかけた作品。

 パネリストからは、偏見に関する幼い頃の体験やマイノリティーに対する事例紹介がなされた後、「メディアは世界各地の問題を取り上げることを通じて異文化の相互理解を促進することができる反面、伝え方によっては悪意をもった固定観念を植え付ける危険もあることを自覚し責任を持って伝えることが大切だ」という意見や「今は公共の放送に頼るだけではなく、一般の人達でもユーチューブ等を使って情報を伝えることができる」「タブー視されている問題でも、メディアが勇気を持って伝えていけば解決に向かって世界を変えていく力になる」と言った意見などが出されました。

 後半では、昨年の日本賞企画部門で最優秀賞(放送文化基金賞)を受賞し、その賞金を使って制作された「ミーアキャットのぼうけん」を視聴した後、同じようにパネルディスカッションが行なわれました。

「ミーアキャットのぼうけん」
 ミーアキャットは、ナミビアの子供達に人気のある動物で、これをアニメキャラクターのナビゲーター役にして、砂漠、サバンナ、海岸地帯などアフリカ各地を旅し、そこでの出会いを通して子供達が自然に英語に親しめる様に作られた作品。

 パネリストからは、「ナミビアは25年前に南アフリカから独立した13の言語からなる多民族国家で英語を共通語としているが、その普及率はまだ1%にとどまっておりメディアの果たす役割は極めて大きいこと」また、「テレビをみることができない地域では、ラジオやDVDそれに印刷物などのツールも活用して、共通語としての英語を普及させていく事が重要だ」という意見などが出されました。