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放送文化基金賞

受賞のことば 第40回【番組部門】テレビドラマ番組部門

★最優秀賞

テレビ朝日開局55周年記念 山田太一ドラマスペシャル
「時は立ちどまらない」

(テレビ朝日)

 東日本大震災から3年。「3.11」をドラマで描くには大変な勇気と覚悟が必要でした。山田太一さんの挑戦に、キャストもスタッフも真摯に向き合った現場でした。東北に取材に行き、被災地の声を聞き、そこで生まれ育った人たちの“その日”だけではなく、生まれてからのことや、震災後を生きている言葉を丁寧に拾いました。「震災」を伝えるのは報道の力が強いが、脚本が切り込むべき場所がある、そう言って山田先生は、被災した二つの家族模様を描かれました。堀川とんこう監督のタフな演出のもと、中井貴一さんをはじめ素晴らしいキャストが、力強く、可笑しみある人間を生きてくれました。「時は立ちどまらない。だから絶望も幸福も決して立ちどまりはしない」そんなメッセージを持ったこの作品に素晴らしい賞をいただいたことに感謝し、ここにスタッフとして参加できたことを幸せに思います。

テレビ朝日 内山 聖子

★優秀賞

連続テレビ小説 あまちゃん
(NHK)

 劇中で海女の花巻さんがネタを披露する時の口癖に「分がるヤツだげ分がればいい」という台詞がある。これが『あまちゃん』の制作ポリシーのように思われることが多かった。半分は当たっていて、半分はハズれている。この台詞には2つの意味がある。文字通り「分かってくれなくていいよ」という自虐と、もう1つは「それぐらいこのネタには思い入れがある」という強い自負である。『あまちゃん』は、自分たちが面白いと思うこと以外は絶対にやらなかった点で花巻さん同様であり、多くの人に伝わる表現を最後まで探し続けた点では真逆である。この両立は難しい。夜向きな大人たちが“朝ドラ”という枠と格闘した結果が評価され、本当に嬉しく思う。

NHK 訓覇 圭

●奨励賞

日曜劇場 半沢直樹
(TBSテレビ)

 “この本面白いから読んでみてよ”演出の福澤克雄から手渡された、池井戸潤さん原作の「オレたちバブル入行組」と「オレたち花のバブル組」。一気に魅了された痛快ヒーロー「半沢直樹」を、敵役を熱演された香川照之さんにまで“言葉を支配した”と言わしめた堺雅人さんが見事に具現化して下さいました。香川さんは勿論、少ない出番にも関わらず難役を演じて下さった上戸彩さん、北大路欣也さん、男くさい世界観を彩った出演者の方々、素晴らしい音楽を作って下さった服部隆之さん、黙々と書き続けて下さった脚本の八津弘幸さん、全てをまとめ上げた福澤監督、そして多くの視聴者の皆様、本当にありがとうございました。感謝の気持ちを倍返しだ!!

TBSテレビ 伊與田 英徳

●奨励賞

水曜ドラマ Woman
(日本テレビ放送網)

 シングルマザーを主人公にドラマを書きたいという脚本家の坂元裕二さんの着想に賛同し、かつての「Mother」のスタッフを集結し制作した作品です。時事性と作品性を共存させるべく、リアルにそして真摯に現代社会の抱える問題を描きました。難しい役どころの主人公を演じきった満島ひかりさんはじめ、田中裕子さん、小林薫さん、小栗旬さん、二階堂ふみさんらの重厚で先鋭な演技に支えられ完成できた作品でした。今回このような賞を頂けたことは歓喜の極みです。また同作品により水田伸生監督が芸術選奨文部科学大臣賞放送部門を受賞することもでき、本作品が世に広く受け入れられたことを実感でき、大きな励みとなりました。

日本テレビ放送網 次屋 尚