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放送文化基金賞

受賞のことば 第40回【番組部門】ラジオ番組

★最優秀賞

In My Life ~介護の仕事と ビートルズと~
(北日本放送)

 「心に沁みてくるような深み」が感じられる川手照子さんの歌声には一体どんな秘密が隠されているのか。そんな素朴な疑問が番組制作のきっかけでした。
 波乱万丈な人生を歩みながらも「人生まんざら捨てたもんじゃない」と言う川手さんの姿に、同じ女性として、子を持つ母として、共感を超えた尊敬の念を抱きました。もし自分が川手さんのような境遇にあって、こんな風に言える生き方が出来るだろうか?番組を制作する日々は、自身の生き方を見つめなおす日々でもありました。川手照子さんという1人の女性の生き方を通して、「生きること」について考えるきっかけになれば、そして、川手さんの歌声やこの番組が多くの人の応援歌になれば幸いです。

北日本放送 佐伯 和歌子

★優秀賞

西村雅彦監督ラジオドラマ 立山に想ふ 遠き日の約束
(北日本放送)

 西村雅彦さんの「何か故郷の人たちが元気になるような活動ができないだろうか。」という思いを受けて制作したラジオドラマです。役者はすべて富山で暮らす一般の人々。ラジオをあまり聴かなくなった若年層にラジオの楽しさを知ってもらいたいと、高校放送部の生徒にも大勢参加してもらいました。祖父母の世代と孫の世代をつなぐドラマ…西村さんは演技指導や練習のために忙しい合間を縫って何度も富山に来てくれました。戦争体験者が年々減少し、若者にはほとんど語り継がれなくなってしまった身近な戦争について、もう一度身近な者同士で語りつなぎ始めるきっかけをつくれないだろうか、という思いをストーリーに込めました。

北日本放送 柴田 明夫

●奨励賞

FMシアター 金魚の恋、五十五年の夢
(NHK名古屋放送局)

 金魚養殖の町・弥富は、伊勢湾台風のとき、高波に流された金魚で真っ赤に染まったそうです。そんな風景をともに経験した人々には、断ち難い絆が生まれただろうと思いながら制作しました。天災は、私たち人間も“自然”の中に生かされているのだということを、厳かに語ります。その都度、先人たちは哀しみ・苦しみを乗り超えてきました。東日本大震災後の今、私たちは次代にどういう生き方を示せるだろう…そんな思いからこのドラマは生まれました。
 林さんの深い語り、能世さんと伊藤さんの温かい尾張ことば…望外の賞を頂き、出演者・スタッフはもちろん、取材に快く応じて下さった弥富の皆さん、鉄道車輛会社の皆さんに、改めてお礼申し上げます。

NHK名古屋放送局 佐藤 譲