受賞のことば 第43回【個人・グループ部門】放送文化
●宮﨑 賢(RSKプロビジョン カメラマン)
35年にわたるハンセン病強制隔離の実態についての継続映像報道
ハンセン病患者を強制隔離した「長島愛生園」で暮らす入所者と向き合って35年になる。
島で見えたものは「隔離」によって未来を奪われた人たちだ。
「らい予防法」によって病気が治っても故郷に帰れなかった。強制労働と断種、堕胎が強いられ尊い命が奪われた。入所者は「日本のアウシュヴィッツだ」と話す。
人間扱いされなかった入所者の思いを伝えたい。その思いは今も変わらない。
日本のハンセン病政策が覆る時代を撮影し報道してきた事を認めていただき、ありがとうございます。
●阿武野勝彦(東海テレビ放送 プロデューサー)
優れたドキュメンタリー番組の制作、その多角的な展開と牽引
とても不思議なことですが、ドキュメンタリーを作っていると、「神様が降りてきた!」と思える瞬間があります。この賞も、そうなのでは…。この神様だけは裏切ることがありません。カメラマン、編集マン、ディレクター、TK、効果マン、そしてナレーター、わがスタッフの計り知れない一生懸命さが降臨の所以だと私は信じています。ドキュメンタリーのために何ができるのか、テレビのために何ができるのか、この賞を励みにスタッフとともに、もう少し歩みを進めて行きたいと思います。感謝の合掌。
●三宅民夫(NHK アナウンサー)
幅広い分野で卓越したアナウンス技術を発揮
番組で私の額に光るのは「冷や汗」…様々な番組を担当してきましたが、中でも思い出深いのは『NHKスペシャル』です。難しいテーマの生放送、多人数の討論司会など、極めて高度なキャスターワークを求められました。多様な意見の衝突をどう仕切り、提言を見いだすか…制作チームの最終走者として、キャスターの責任は重いのですが、それを乗り越えられたのも、チームワークのお陰だったと、強く感じています。放送は共同作業のアート!共に汗を流して下さった方々に、心から感謝です。
● 「テレビ寺子屋」制作スタッフ(テレビ静岡)
40年にわたり家庭教育について考える番組を制作
『テレビ寺子屋』は昨年9月、放送2,000回を迎える事ができました。
1977年の放送開始以来、数多くの講師をお迎えし「教育」という軸をベースに放送をしてきました。放送開始当初は、番組を見た方々が、「そうか、子育てにはこんなやり方もあるのか!私も頑張って子育てしよう!」と思ってもらえるような、子育て世代の親御さんたちへのメッセージが主でした。しかし最近は、「教育」分野のみならず様々な「生き方」のヒントとなるような講演も増えてきました。世の中の多様性に対応しつつ『テレビ寺子屋』はこれからも「教育」という軸を忘れず変化、発展させて行きたいと思います。
テレビ静岡 山元一郎