受賞のことば 第43回【番組部門】テレビエンターテインメント番組部門
- ★最優秀賞ザ・プレミアム 寅さん、何考えていたの? 渥美清・心の旅路 (かわうそ商会、NHKエンタープライズ、NHK)
- ★優秀賞古舘トーキングヒストリー ~忠臣蔵、吉良邸討ち入り完全実況~ (テレビ朝日)
- ●奨励賞天空のお花畑 大雪山 “小さな賢者”の物語 (NHK札幌放送局、NHK旭川放送局)
- ●奨励賞ETV特集 15歳 私たちが見つけたもの ~熊本地震 3年3組の半年~ (NHK熊本放送局)
★最優秀賞
寅さん、何考えていたの? 渥美清・心の旅路
(かわうそ商会、NHKエンタープライズ、NHK)
「助かった!」…受賞の報せを聞いて思わず呟いた言葉です。しかし、これ決して“賞金”の話ではなく“ココロ”の話です。えっ、嘘つくなって…何はともあれ、最近スランプに陥り少々腐り気味だった自分にとっては、この上ない栄養剤を頂戴した感じです。ありがとうございます。
受賞作の撮影現場はとても充実した現場でした。もちろん番組を作っているのだから迷いもあるし、難儀なこともあったのだけど、何より楽しかった。渥美清の正体に近づいたと思うと、するりと抜けて向こうの方で笑ってる。逃げ水追いかけるように走ってきたら、こんな素敵なところにたどり着きました。スタッフに、出演の皆さんに、ただただ感謝です。もちろん、風天に!
かわうそ商会 正岡裕之
★優秀賞
〜忠臣蔵、吉良邸討ち入り完全実況〜
(テレビ朝日)
この度は名誉ある賞を頂けました事を大変光栄に思います。「本当の『忠臣蔵』は何だったのか?」…司会の古舘さんが何度もおっしゃった言葉です。この言葉を合言葉にスタッフ一丸となり、後年の演劇化で枝葉の広がった「忠臣蔵」から「元禄赤穂事件」に立ち戻り、事実を見つめ直しました。本当に“忠義”だったのか?大勢が命を失う“殺伐とした事件”だったのでは?見る人によって、色々な解釈があったと思います。謎が残る歴史的事件は他にも沢山ありますので、次回作へ向け邁進していければと思っております。
最後になりましたが、出演者の皆さん、東映の皆さん、監修の中央義士会・中島さん、すべてのスタッフの皆さん、有難うございました。
テレビ朝日 菅原悠平
●奨励賞
“小さな賢者”の物語
(NHK札幌放送局、NHK旭川放送局)
企画を立案した当時、私はNHK旭川放送局に勤務していました。旭川は、大雪山から流れ出す川の扇状地に開けており、暮らしの端々で山の存在を感じる町です。この町で二人の息子を育てましたが、冬の透き通った空の下、彼らをそりに乗せ、幼稚園まで送る時に正面に見えたのが大雪山でした(小さな子どもを、そりに乗せて運ぶのは、旭川では一般的です)。小学校の運動会でグラウンドから仰ぎ見たのも大雪山でした。自分たち家族の体を作る「水」を与えてくれたのも大雪山でした。大雪山を知りたい。そんな思いが結晶した番組で賞を頂いたことは、旭川に暮らした者の一人として、とても幸せです。
NHK札幌放送局 田辺陽一
●奨励賞
15歳 私たちが見つけたもの 〜熊本地震 3年3組の半年〜
(NHK熊本放送局)
「震災の中をしなやかに生きる人の尊さ」それが、出会った中学生一人ひとりが発していた“輝き”であり、番組に灯りをともすテーマでもありました。大人が絶望するような状況でも、中学生たちは、悩みながらも、そこで得られる糧を力にして日々を生きていました。その姿が、視聴者、とりわけ同じ被災地に暮らす人々の希望となることを願って、松田ディレクターと私で取材を重ねました。私たち自身が、彼らの“輝き”に導かれながら。
番組を制作することができたのは、言わずもがなですが、困難の中で取材を受け入れてくださった中学生たちと保護者、中学校関係者のおかげです。この場を借りて、改めて感謝申し上げたいと思います。
NHK熊本放送局 小堀友久