受賞のことば 第43回【番組部門】個人賞
※表彰番組を対象として、その番組に携わった個人に贈る賞
●演技賞
「土曜ドラマ トットてれび」
歩くテレビ博物館・黒柳徹子さんの奇跡のような日々に、こんな風に出会えるなんて。変なドラマでした。スタジオが裏まで映る、劇中の音楽はお芝居と共に生演奏、カメラを3台縦に並べて撮影したり、1時間半回しっぱなしもありました。いつスタートしていつ終わるのかもわからない。場面の半分はアドリブで、出演者もスタッフもエキストラさんまで、最高に変だった。
テレビがおもちゃだった時代と、 トットちゃんの“イノセント”な存在に、いまも心底惚れています。小タマネギさんに、嬉しい賞をありがとうございます。かかわった全ての方に、感謝と愛を込めて。
●演技賞
「土曜ドラマ 夏目漱石の妻」
大変うれしいです。
漱石の家族を持つ事への期待や恐れなど、人間的な明暗にふれ、その偉大な作家の魅力に一気に引き込まれ、自分がますます漱石にのめり込んでいく感覚がありました。役を演じながらそのまま抜け出したくないと思うほどでした。
美術、演出、脚本、共演者、ロケーションなどどれもが素晴らしく、色んな事に恵まれた現場だったと思います。
池端先生、柴田監督、尾野真千子さんはじめすべてのキャスト、スタッフの皆様、本当にありがとうございました。
●演出賞
「土曜ドラマ 夏目漱石の妻」
演出を行う者として、いつかは夏目漱石という大きな存在にアタックしてみたいとずっと思ってきました。そして没後百年を迎える今こそチャンスと立ち上げたのがこの作品です。今回選んだ切り口は妻の目線。漱石の芸術的苦悩に入り込んでいくのではなく、あくまでも人間漱石、「夫」としての漱石に迫ってみたいと思いました。
池端俊策さんの素晴らしい脚本、そして尾野真千子さん、長谷川博己さんというベストキャストを得て、その試みは最高にエキサイティングで、新しい発見に満ちたものとなりました。このドラマを支えてくれたすべてのキャスト・スタッフに心から感謝いたします。
NHKエンタープライズ 柴田岳志
●制作賞
「はりぼて 腐敗議会と記者たちの攻防」
過去に制作したドキュメンタリーは、自分が取材した映像を編集するスタイルでした。しかし、今回約600本回ったテープの大半は同僚たちが取材したもので、自分の取材分は1割ほどしかありません。素材チェックを進めるたびに「こんなシーンもあったのか!」と発見の連続でした。だから、ニュースでは伝えられなかった議員たちとの攻防をふんだんに盛り込みました。ただ淡々と質問を重ね、真実に迫ろうとした同僚たち。その姿を、ただ淡々と伝えたことで、濃密な攻防が際立ったのかと思います。