HBF 公益財団法人 放送文化基金

文字サイズ:

HOME放送文化基金賞受賞のことば 第45回【番組部門】テレビドラマ番組部門

放送文化基金賞

受賞のことば 第45回【番組部門】テレビドラマ番組部門

受賞一覧へ戻る

最優秀賞

NHK スペシャル
詐欺の子

(NHK名古屋放送局)


 脚本制作にあたり、詐欺で捕まった20人以上の若者を取材しました。中でも衝撃だったのは「17歳からの2年間、毎日ラブホを転々として1人で詐欺電話をかけた」という証言。人生で一番楽しいはずの時期に、そんな青春を送らせる世の中って何だろう…。今思えばこの問いこそが、番組のテーマだった気がします。
 巨大な詐欺組織の歯車に過ぎないと自らに言い聞かせ、「自分はそんなに悪くない」と言い逃れる「詐欺の子」たち。彼らを生み出しているのは、同じように無責任な大人が蔓延する、今の社会の「閉塞感」に思えてなりません。
 「当たり前に人が信じられる世の中を取り戻そう」を合言葉に、総力を挙げて取り組んでくれた出演者・スタッフの皆さん。本当にありがとうございました!
NHK名古屋放送局 川上 剛

優秀賞

土曜ナイトドラマ
おっさんずラブ

(テレビ朝日)

徳尾浩司さん  貴島彩里さん

 男女共に働く現代社会、仕事に生きるアラサー男女が、理想にぴったりで尊敬できて大好きで、そんな“素敵”な同性の友人や上司に告白されたら…?たまたまヒロインがおっさんだっただけ、「人を好きになるとはどういうことなのか」をテーマにチーム一同進んでまいりました。
 座長の田中圭さんを始めとするキャスト陣が、脚本から飛び出すほど“一途な生き様”を描いてくださったおかげで、ピュアなキャラクターたちをここまで応援して頂けたのだと思います。この夏は“映画”という舞台で、たくさんの視聴者に笑顔を届けられるよう、初心を忘れず頑張ります!本当にありがとうございました。
テレビ朝日 貴島彩理

奨励賞

ドラマ24
フルーツ宅配便

(テレビ東京)

白石和彌さん 濱谷晃一さん

 デリバリーヘルスが舞台なのに、性的な描写が一切なく、働く女性の悲喜こもごもを描く。原作の1巻を読んだ時に、絶対にテレ東でドラマにしなければ!という使命感に駆られました。日本映画界をけん引する白石和彌監督総指揮のもと、最高のスタッフで臨むことができました。素晴らしい俳優陣のおかげでドラマにリアリティと奥行きが生まれました。特に主人公の咲田は派手な活躍がなく、デリヘル嬢に寄り添う非常に難しい役ですが、濱田岳さんのおかげで魅力的なキャラクターになり、観る人をぐっと引き込んでくれました。この挑戦的な題材のドラマが評価されたことが本当に嬉しいです。全スタッフ、キャストに心より感謝申し上げます。
テレビ東京 濱谷晃一

奨励賞

ドラマ10
透明なゆりかご

(NHK、NHKエンタープライズ)

須崎 岳さん  柴田岳志さん

 1年前の今頃、私達は記録的酷暑の中での撮影と、放送目前での編集・ポスプロに追われながらも、あるひとつの不安を抱えていました。「産婦人科の“影”の部分を描く」とスタッフ・出演者一丸で作って来たものの、本当に重たい題材が多いこの作品、視聴者の皆さんに「こんな暗い気持ちになるもの見たくない」と敬遠されて終わってしまうのではないか、と。しかし初回放送直後から、大きな反響と熱烈な支持の声が挙がり、多くの人に受け入れていただくことが出来ました。今回のような栄えある受賞も。重たい題材だからこそ、最後にはひと筋の“光”が感じられるよう、工夫と思いを込めて来たのが伝わったのではと、大変に嬉しく思っています。
NHKエンタープライズ 須崎 岳