受賞のことば 第45回【番組部門】個人賞
※表彰番組を対象として、その番組に携わった個人に贈る賞
●演技賞
NHK スペシャル 詐欺の子
頂いた台本と、監督から手渡された有り余るほどの資料には、今まさに向き合っている現実と、切実な痛みがありました。
「これは今、作らなければいけないもの(TV)です」そんな話になりました。
ドキュメンタリーには力があり、加害者という実感を持てない若者たちがリアルでした。
「彼らに、いやこれからの彼らにも、言われない災難に巻き込まれている被害者のこの痛みを知ってもらわなければなりません」
現場はまるで事件の中に入りこんだように撮影されていきました。
その中で生まれてくる感情を監督は紡いで、私は被害者の思いを体感していくような作業でした。
一番役者というものに清純に向かい合いたい今、出会いたかった現場でありました。
この賞をあの現場のみんなで頂きます!
ありがとうございました。
本当に見ていて下さってありがとう。
●演技賞
ドラマ24 フルーツ宅配便
フルーツ宅配便というお店には、狡猾な女性はいませんでした。
一生懸命生きている方ばかりだったと思います。
だからでしょうか、フルーツ宅配便で働いている、ミスジさんをはじめとしたスタッフ、このドラマを作った、監督、スタッフ、キャスト、は彼女達のために一生懸命働けたんだと思います。
本当に僕達に、大変名誉な素敵な賞をありがとうございます。
●演技賞
ラジオドラマ 「ストリッパー物語」
この作品のラジオドラマ化を実現して下さったこと、そして私をキャスティングして下さったこと、収録を通してつかさんの作品に関わり、愛する人々との再会を果たせたこと...
既に、たくさんの感謝の気持ちでいっぱいだったのに。まさか、賞をいただくなんて。
改めて“つかこうへい”という人は、私の中、そして私の女優人生の中で、生き続ける方なのだな、と実感いたしました。
つかさん、そして杉田さん、私に素晴らしい経験を与えて下さり、的確で情熱的なご指導をして下さり、私に女優業の魅力を教えて下さったことに、今更ながら改めて感謝します。本当にありがとうございます。
●企画賞
ETV特集 静かで、にぎやかな世界 〜手話で生きる子どもたち〜
学校に入った瞬間、「何て楽しそうなんだ!」と子ども達に惹きつけられました。この生き生きとした世界を、映像だけで伝えたい!と思ってロケを始めたものの、実は最後になってナレーションなしで良いか迷いました。音のある世界にいる人達に、見てもらえるか自信がなかったのです。私自身が、音のない世界に慣れっこの難聴者だからです。迷いをかき消してくれたのは、一緒に番組を作った制作チームでした。視点の違う者同士が共に仕事をすることで生まれた番組です。全ての方に感謝しています。