受賞のことば 第50回 放送技術部門
- ●SKYip(スキップ)開発チーム(NHK)
- ●ミリ波4Kワイヤレスカメラシステム開発・実用化グループ(NHK)
- ●プロ野球中継高度化検討チーム(日本テレビ放送網、キヤノン、読売新聞東京本社)
- ●照明業務支援システム開発チーム(朝日放送テレビ、パナソニック、森平舞台機構)
●SKYip(スキップ)開発チーム
NHK
衛星IP伝送システム(SKYipシステム)の開発・実用化の推進
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左から久米沙也加さん、松浦純さん
SKYipシステムの開発は2017年度から検討が始まりました。国内外のCS通信の動向調査や運用現場と意見交換を経て、双方向通信を活用し、チャンネル割り当てやUAT、帯域制御の自動化を実現しました。2020年から全国整備を進め、現在はNHKの緊急報道において、1月に起きた能登半島地震をはじめ、大いにその効果を発揮しています。
今後も、“人々の安全・安心を支える”NHKの使命の1つである迅速・確実な報道に貢献できるような実用システムの開発に取り組んでいきます。
NHK 久米沙也加
●ミリ波4Kワイヤレスカメラシステム開発・実用化グループ
NHK
ライブ制作でダイナミックなカメラワークを可能とするミリ波4Kワイヤレスカメラシステムの開発・実用化
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左から松﨑敬文さん、西原正揮さん
制作現場と技術研究所が連携し、高画質な4K映像を低遅延で安定して伝送可能なミリ波4Kワイヤレスカメラシステムを開発・実用化しました。送信機の低消費電力化と高信頼の移動伝送が可能な伝送方式を開発し、ミリ波による安定した大容量伝送を実現しました。本システムにより、歌番組を含む様々なエンターテインメント番組でワイヤレスならではのダイナミックな4Kライブ映像をご家庭にお届けできるようになりました。
今後も、放送コンテンツの品質向上に向けた研究開発に取り組んでまいります。
NHK 松﨑敬文
●プロ野球中継高度化検討チーム
日本テレビ放送網、キヤノン、読売新聞東京本社
ボリュメトリックビデオを用いたプロ野球中継
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左から篠田貴之さん、伊達厚さん
1953年、民放初のプロ野球中継はわずか2台のカメラでスタートしました。それから70年の時を経て、約100台の専用カメラによる新技術により、これまでにない視点から競技の本質や魅力をお届けできるようになりました。ボリュメトリックビデオを駆使した番組制作には高いスキルと豊富な経験が必要であり、多くの関係者の努力によってその実現が可能となりました。10年、20年先のスポーツ視聴の未来を想像し、スポーツの魅力を最大限に伝えられるよう、時代を前進させられる中継を目指してまいります。
日本テレビ放送網 篠田貴之
●照明業務支援システム開発チーム
朝日放送テレビ、パナソニック、森平舞台機構
照明業務支援システムの開発
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左から瀧本貴士さん、細川圭吾さん
照明分野において、LED器具の導入に伴い、従来の電球の照明器具では必要なかった設定作業が必要となり、業務負荷が著しく増加しました。本技術の開発によって照明システム設定と現場照明設置作業が大幅に短縮され、労働時間の短縮を実現しました。今後もさらなる業務効率化を進め、「準備」に時間を割くのではなく、より「照明デザイン」、「番組デザイン」に時間を注力できる環境実現を目指し、開発を進めてまいります。この度は、名誉ある賞をいただき、誠にありがとうございました。
朝日放送テレビ 瀧本貴士