HBF 公益財団法人 放送文化基金

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2018年度助成金贈呈式

 放送文化基金の2018年度の助成対象が決まり、2019年3月5日、ホテルルポール麹町で助成金贈呈式が開催されました。

 はじめに末松理事長が「今年度採択されたそれぞれのプロジェクトは、基礎研究はもとより時代を捉えたタイムリーなものや斬新なアイデアに富んだものなど、いずれも皆さんの熱い思いを感じさせるものばかりで、大いに成果を期待しています。皆さんには、ぜひ助成金を有効に使っていただき、これからの放送文化の発展・向上に寄与するプロジェクトを着実に進めていただきたい。」と挨拶しました。
 引き続き、「技術開発」の今井秀樹審査委員長と「人文社会・文化」の黒崎政男審査委員長から今回の審査について概況報告がありました。

 2018年度は、技術開発27件、人文社会・文化55件の合わせて82件の申請があり、審査の結果、技術開発12件、人文社会・文化22件の合わせて 34件、総額5,759万円が採択されました。助成対象に選ばれた1人1人に末松理事長から目録が手渡され、記念撮影を行いました。電気通信大学大学院情報理工学研究科 准教授 細川敬祐さん近畿大学生物理工学部 准教授 長谷川由美さんの2人から各部門を代表して研究の紹介がありました。

 助成対象に決まったプロジェクトは、2019年4月から2020年3月までの1年間、研究、開発、調査、事業等を実施し、報告をまとめることになります。


今井委員長

黒崎委員長

技術開発部門 代表挨拶

放送衛星に影響を与える宇宙嵐をモニタリングするシステムの開発と公開
電気通信大学大学院情報理工学研究科 准教授 細川 敬祐

 BS放送やCS放送に用いられる放送衛星、天気予報に用いられる気象衛星など、人工衛星を用いた宇宙の高度利用は、放送事業にとって必要不可欠な要素となっています。これらの人工衛星が飛翔し、地上との通信電波が行き交う地球近傍の宇宙空間(ジオスペース)には、磁気嵐やオーロラ嵐に代表される様々な「乱れ」が生じています。磁気嵐に伴って発生する高エネルギー電子によって静止軌道上の放送・気象衛星のコンピュータに障害が発生したり。低軌道を飛翔する衛星についても、オーロラ嵐に伴って異常帯電が起こるだけでなく、突発的に生じる大気の加熱膨脹によって姿勢が乱れることが知られています。また、衛星通信電波の通り道である空間(電離圏)に生じる大気の乱れによって、気象衛星画像の劣化や、全球衛星測位システム(GPS衛星や準天頂衛星)の誤差が生じることも分かっています。放送事業に供するものを含む宇宙システムを安定的に利用するためには、これらの乱れの発生要因を理解し、人工衛星に対する影響を評価・予測する必要があります。本課題では、「短波ドップラー観測網」と呼ばれるリモートセンシング手法を用いて、磁気嵐、オーロラ嵐などに代表されるジオスペースの乱れの現象を観測します。また、ネットワーク化した計測による広域モニタリングによって、宇宙の天気予報の高精度化を図り、放送衛星やラジオ放送などの安定的な運用に貢献することを目指します。具体的には、短波ドップラー観測で得られたデータをリアルタイムに公開するシステムを構築し、ジオスペース変動のモニタリングツールとして活用できるようにしたいと考えています。
 将来的には、英、仏、チェコ、台湾の研究機関によって独立に行われている短波ドップラー観測を統合する形で国際的な電波観測研究のアライアンスを形成し、ジオスペース環境モニタリングの広域化を図ることによって、放送事業の発展に貢献したいと考えています。

人文社会・文化部門 代表挨拶

コミュニティFMラジオ局の情報弱者に対する配慮の実際~その共通点と独自性~
近畿大学生物理工学部 准教授 長谷川 由美

 災害時、情報を入手する手段の一つであるラジオは、これまでの大規模災害の際にも、その有効性が指摘されてきました。特に、地域の状況に合わせた詳細な情報提供が可能であるコミュニティFMラジオの果たす役割が大きいことは、過去の事例からも明らかとなっています。しかし、音声による情報発信メディアであるラジオは、その特性ゆえに、日本語の理解が充分ではない在日外国人や聴覚障がい者には、情報入手が難しいメディアであることも事実です。

 ただ、全国のコミュニティFMラジオ局の中には、災害時にFacebookLINEなどのソーシャルメディアを活用したり、自治体やボランティア団体との協力体制を整えたりと、情報弱者に配慮した情報発信を行っている局もあります。そこで本研究では、以下の3点を目標とし、ラジオ局にインタビュー調査を実施します。

  • 1.災害時にSNSなどで文字による情報提供を行っている局の手法や方針などの共通点と独自性について調査、分析を行い、ラジオ局におけるソーシャルメディア活用の必要条件を見出す。
  • 2.調査結果をラジオ局に提供し、災害時に情報弱者となる在日外国人や聴覚障がい者への情報提供の在り方や可能性についての意識を高める。
  • 3.調査結果を在日外国人や聴覚障がい者に提供し、コミュニティFMラジオの情報活用について啓発を行う。

 本研究は、コミュニティFMラジオの役割について、情報弱者への情報提供の視点からアプローチすることにより、「日本語が分かる/わからない」「聞こえる/聞こえない」という壁を越え、多様性社会を支える新たなプラットフォームとしてのラジオ局の機能の可能性を探ることで、コミュニティFMラジオが「聴取エリアの限定性」を活かし、放送局という母体から障がいや国籍を越え、地域の人々を繋ぐ「場」として機能できる可能性を示唆できれば、放送文化の発展に貢献できるのではないかと考えています。

懇親会の模様


濱田理事 乾杯