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各地で行われた制作者フォーラムの模様を、参加者の声を交えて伝えます。

2015年2月1日

もっと  制作者フォーラムinまつやま

レポート+寄稿

 2014年12月6日(土)、テレビ愛媛7Fホールにて、中四国制作者フォーラム実行委員会と放送文化基金が主催する「中四国制作者フォーラムinまつやま」が開催されました。
 このフォーラムには、鳥取、島根、広島、山口、徳島、香川、岡山、愛媛、高知県にある全民放とNHK、計32局が協力し、制作者を中心に約60人が参加しました。
 ミニ番組コンテストには29作品が参加。審査員の有吉伸人さん(NHKエグゼクティブ・プロデューサー)、大澤嘉工さん(映像ディレクター、映画監督)、日笠昭彦さん(日本テレビ「NNNドキュメント」プロデューサー)から1作品ずつ具体的なアドバイスや感想がありました。
 引き続き、3人によるシンポジウムが行われ、ミニ番組を見て全体でどのように感じたかなどを語ってもらいました。はじめに、有吉さんから、これからのテレビを作っていく人たちの顔が見たいと思って審査員を引き受けた。というお話しがありました。その後、3人から、「少しでも心にひっかかる番組を作っていって欲しい」「ワンカット、ワンカットにどれだけ拘れるかが大事で、もっともっと画に拘って!」「出会いを大事にして欲しい」などのアドバイスがありました。
 この後、場所を移して表彰式、懇親会、二次会・・・と、夜遅くまで系列を越えて熱く語り合っていました。

 ミニ番組コンテストで最優秀賞を受賞した財津芳紀さん(NHK岡山放送局)さん、審査員の日笠昭彦さん(日本テレビ「NNNドキュメント」プロデューサー)、実行委員の三谷隆司さん(南海放送)に、フォーラムの感想をお寄せいただきました。

最優秀賞受賞
笑いの力ってすごい!
財津 芳紀 (NHK岡山放送局 放送部 制作)

 この度は、「中四国制作者フォーラムinまつやま」のミニ番組コンテストで最優秀賞を頂き、本当にありがとうございました。出品した番組は、岡山県を中心に活動する手話漫才の『ぷ~&み~企画』のお二人を特集したものです。彼らは耳が聞こえない人と聞こえる人のコンビ。そして、聞こえる人も聞こえない人も笑える漫才を目指しています。
 取材中、彼らは所かまわずボケまくるため、まだ入局して間もない私でも取材がしやすい雰囲気になり、本当に助かりました。この作品は本当に取材相手に恵まれました。また実際漫才を披露する会場でロケさせて頂いた時に、現場が笑いにつつまれているのを見て、この瞬間をテレビで伝えられたら、と素直に思いました。
  私が感じた現場での温かい笑いの雰囲気をより視聴者に伝えられるようにこれからも精進していきたいと思います。

ミニ番組コンテスト審査員
心の畑を耕すとき
日笠 昭彦(日本テレビ「NNNドキュメントプロデューサー」)

 まるで五輪の射撃競技のように、スクリーンに次々と作品が映し出されていく。その数29本。それを観る…評価する…観る…評価する。テーマは実に様々、しかし審査時間はわずかだ。4年振りに参加した制作者フォーラムだが「試されているのは審査員の方では?」と錯覚するほど過酷な時間が過ぎていく。
 おしなべて、作品のクオリティは4年前を上回った。さすが、賞レースで常に激戦となる中四国。地力がある。そこには、この制作者フォーラムの存在も寄与しているのかもしれない。
 ただ、気になることもあった。審査の後に行われた質疑応答。若手が抱える“悩みの質”がどこかおかしい。本来、大いに悩むべきテーマや事象ではなく、組織やスタッフ間の些末な関係に右往左往している印象だ。物事の本質に向き合う時間が足りていないのではないか?メッセージを放つ導火線は個々の胸の内にあるのだから、その「心の畑」を耕すことに腐心して欲しい。
 とは言え、深夜まで続いた懇親会では希望を感じた。「私も頑張らなければ…」50を過ぎたベテランにやる気を起こさせる、そんな素晴らしい催しだった。

実行委員
系列を超えた“テレビ”への“熱意”
三谷 隆司(南海放送 報道制作局次長兼報道部長)

 制作者フォーラムの魅力を一言で言えば、系列を超えた「協力と競争」ではないでしょうか。中四国の場合、12月6日の開催に向け、松山市に本社を置く民放4社とNHKが話し合いを始めたのが5月。その後、毎月1度、合わせて8回の世話人会の準備会合を持ち、開催にこぎつけました。系列を超えて役割分担し、それぞれチェックし合う。こうした協力は個人的には経験がなく、人間関係も深まり、よい財産、よい思い出となりました。
 フォーラム開催日は29の作品を約60人の参加者が視聴しました。正直、途中で抜ける参加者も出るのでは…と心配しましたが、まったく杞憂に過ぎませんでした。1日がかりで作品を見つめる目は真剣そのもの。若手中心の参加者でしたが、番組制作に対する熱意は本物だと感じました。その後の懇親会への参加率も極めて高く、2次会では日をまたいで午前2時まで制作論議は続きました。審査員、兼、講師として招いた3人のゲストも、若手の熱意に予想以上の満足感を得ると同時に、テレビ番組の未来に明るい希望を持った様子でした。
 さて、テレビ業界は歴史的転換点、見ようによれば、歴史的危機を迎えていると言って過言ではありません。ネット上では誰もがコンテンツの発信者になれます。テレビがメディアの王者だった時代は、遠い昔話になりつつあります。こうした時代に、テレビが生き残るためには、いかに魅力的なコンテンツを提供できるかが最も重要な要素であることは間違いありません。そして、その制作者は人です。制作者としての人を育て、大切にすることこそ、テレビ生き残りのカギを握っています。そうした認識を新たにするフォーラムでした。