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読む・楽しむ もっと制作者フォーラム
各地で行われた制作者フォーラムの模様を、参加者の声を交えて伝えます。

2016年1月6日

もっと  制作者フォーラムinやまがた

レポート+寄稿

 2015年12月4日(金)、5日(土)の2日間にわたり、山形市の山形テルサにて「北日本制作者フォーラムinやまがた」が開催されました。
 このフォーラムには、北海道と東北6県にある全民放とNHK、計40の放送局が協力し、制作者を中心に2日間で延べ160名が参加しました。
 パネリストに日笠昭彦さん(元NNNドキュメントプロデューサー)、深谷茂美さん(テレビユー福島)、原村政樹さん(映画監督)、コーディネーターに音好宏さん(上智大学教授)を迎え「今、テレビが伝えなければならないこと」をテーマにパネルディスカッションが行われ、「日々のニュースの中のテーマであの人がつくっている。と思われることが大事」「生活の中、地方に住んでいるみんなの足元に伝えるべきことがある」「自分のテーマをみつけることが大切」など、会場の若い制作者たちにエールを送りました。
 続けてのミニ番組コンテストには23作品が参加し、パネルディスカッションのゲスト4名が審査にあたり、1作品ずつアドバイスを送り、制作者たちは真剣に耳を傾けていました。
 翌日は、「話題の番組を見る会を」開催し、番組部門で大賞を受賞した『Dr.ぜんすけ~人情医師が残してくれたもの~』(青森朝日放送)と、『TUFルポルタージュ ふつうの家族~ある障がい者夫婦の22年~』(テレビユー福島)を上映し、それぞれの制作者である原田覚さん、深谷茂美さんから話を聞きました。
 2日間にわたり熱い討論、制作者同士の交流が行われました。

 ミニ番組コンテストで大賞を受賞した菅野豪史さん(東北放送)、審査員の深谷茂美さん(テレビユー福島)、実行委員の佐藤義亀さん(テレビユー山形)にフォーラムの感想をお寄せいただきました。

ミニ番組大賞
「小さなミツバチを追って」
菅野 豪史(東北放送 報道制作局映像部 カメラマン)

 この度は、「北日本製作者フォーラムin山形」のミニ番組部門で大賞に選んで頂きありがとうございました。宮城県は東日本大震災で未曾有の被害を受けてまもなく5年を迎えます。被災した地域は少しずつではありますが復興にむかっています。今回出品した作品は壊滅的な被害をうけ復活したイチゴのハウスで活躍するミツバチを追ったものです。人間だけではなく小さなミツバチも復興を支えているのです。普段あまり目にしないミツバチの一生を通して復興の今を伝えようと思いました。カメラマンとして映像にこだわり、時間をかけて制作した作品なのでこのように評価していただいたことをうれしく思います。 今後もカメラマンの視点から震災報道を続けていきたいと思います。

ミニ番組コンテスト審査員
「続けること」の価値
深谷 茂美 (テレビユー福島 報道制作局制作部長)

 このフォーラムがまだ「みちのく映像祭」と呼ばれていた15年前、私は参加者のひとりでした。系列を超えた同世代の制作者との交流は刺激的で、自分が「井の中の蛙」だったことを知りました。そしてこの年に番組部門で賞をいただいたことが、その後仕事を続けていく上で様々な形で私を助けてくれました。だからこのフォーラムは私にとって特別な存在です。
 懇親会で私に16歳と11歳の子供がいることを話すと、多くの女性から「仕事と子育ての両立」について質問を受けました。その悩みは十年以上前に私が直面していた問題とほとんど変わらないもので、「女性制作者の働く環境は少しはマシになったのでは…?」と思っていた私には驚きでした。前例がない環境で『最初のひとり』になるのはとてもエネルギーがいることですが、「何事もあきらめず欲張りに続けること」をオススメします。私の場合、そのエネルギーの源は取材先で出会ったたくさんの福島の人たちでした。そして今、子育ての経験が番組作りに大いに役立っていることは言うまでもありません。

実行委員
「力作揃いの作品に魅了されて」
佐藤 義亀 (テレビユー山形 報道制作局次長)

 放送局の垣根を越えた若手制作者の交流の場「北日本制作者フォーラム」は、大変意義のあるものと、改めて実感しました。
 準備にあたり、番組・ミニ番組と多数のエントリー作品のVTRチェックを始めると、思わず見入ってしまうほどの力作ぞろい。制作者が紡いだ物語には、強いこだわりが感じられ、釘付けになってしまいました。こうした作品が一堂に介して見られるチャンスは、このフォーラムならでは。私自身、良い刺激になりました。フォーラムに参加された制作者が、懇親会の場で熱く意見を交わす姿を見ていると、これまでの苦労が報われたようで、幹事社としては嬉しい瞬間でした。
 最後に、北日本制作者フォーラム開催にあたりご尽力いただきました、上智大学音先生はじめゲストの皆様、そして、放送文化基金の皆様には感謝申し上げます。