もっと 制作者フォーラムinふくおか
レポート+寄稿
2016年11月26日(土)、NHK福岡放送局よかビジョンホールにて、九州放送映像祭実行委員会と放送文化基金が主催する「九州放送映像祭&制作者フォーラム」が開催されました。
このフォーラムには、九州・沖縄の全民放とNHK、計35局が協力、制作者を中心に約90名が参加しました。
初めに行われたミニ番組コンテストには、34作品が参加。審査員の吉岡忍さん(ノンフィクション作家)、藤井稔さん(CBCテレビ プロデューサー)、遠藤美穂さん(テレビせとうち 事務局付部長兼プロデューサー)、トコさん(コラムニスト)が、上映された作品について講評を述べました。
引き続き、「モニタリング」制作の舞台裏というテーマで、TBSテレビ・畠山渉さんのトークセッションが行われました。『ニンゲン観察バラエティ「モニタリング」』は、「 もしも○○だったら、アナタはどうする? 」 をコンセプトに、普通はありえないような状況を設定し、一般の人たちがどう反応するかを撮影して見せる番組。畠山さんは、「視聴者が不快な気持ちにならないように細心の注意を払い、親子で安心して見られる番組作りを目指している」と語りました。また、「“10年続けば名番組”だと思っており、視聴率に一喜一憂することなく、長く続けられることを目標にしている。テレビというメディアが今後どうなるのか、若い制作者の気になるところだとは思うが、自分は“テレビを諦めたくない”という気持ちで頑張ってきた。テレビにはまだまだ可能性があると思っている。」と、集まった制作者たちにエールをおくっていました。
ミニ番組コンテストでグランプリを受賞した坂元伸一さん(宮崎放送)、審査員の遠藤美穂さん(テレビせとうち)、実行委員の松尾恵美さん(九州朝日放送)に、フォーラムの感想をお寄せいただきました。
坂元 伸一(宮崎放送)
この度は、素晴らしい賞を頂き、ありがとうございました。
作品は、県内有数の進学校が毎年、繰り広げる伝統の高校野球大会「四校定期戦」が舞台です。しかし、注目したのは野球部ではなく、じゃんけんやくじ引きで臨時応援団になってしまった生徒たちです。大会までの10日間、すべてを忘れて応援に打ち込む高校生たちの青春の1ページを追いました。
それぞれ葛藤し、もがき苦しみながら練習を続ける応援団。そこには人間として大切な事、成長へと導かれるマニュアルがしっかり組み込まれています。
何でもすぐに手に入る時代に生きる高校生たち。しかし、苦労して手に入れたものこそが、人生においては、役に立つことがあります。
私は、臨時応援団になった生徒たちに「それは、当たりくじですよ~」という思いを伝えたくて制作しました。
番組に携わったすべての関係者、スタッフに感謝を申し上げます。
遠藤 美穂 (テレビせとうち)
小さい頃からテレビっ子だった私ですが、5分のミニ番組とはいえ一気に34本しかもこんなに真剣に見たのは、今回が初めてです。どの作品も力作でしたが、グランプリの「嗚呼!青春 宮崎応援団」は、生徒の表情の変化・成長が映像を見るだけで視聴者側に伝わってくるまさに「テレビの力」を感じる作品でした。全体を通して感じたのは「人の言葉」の重要性です。スーパーやナレーション、効果音や音楽・・・演出の仕方は様々ですが、やはり心に響くのはそれぞれの番組に出てくる人の言葉。被災地を訪れたボランティアの一言。駅の猫に話しかけるおばあちゃんの一言。ソウルフードを愛する威勢のいい常連客の方言丸出しの一言。やっぱり番組は「人なんだよなあ」と再認識。若い方々の熱い思いをチャージして私のやる気スイッチも入りました。
松尾 恵美(KBC九州朝日放送 編成制作局テレビ制作部)
今年の春、大きな地震が九州の大地を揺るがしました。
今も九州中のあらゆる放送局が復興に向けた番組を継続的に放送していますが、今年の九州放送映像祭でも、被災地に寄り添う作品が複数出品されました。
所属するネットワークや局は違えど、放送というメディアを通じ、ふるさとを応援したいという想いは誰もが抱いているのだと胸が熱くなりました。
近年、ネットや他メディアが台頭し、地上波の存在意義が問われています。
しかし、こうして九州中から集まったディレクター渾身の作品を見ているとテレビというメディアには、まだまだ力があるのだということを再認識しました。
また明日から番組を作るパワーをいただいた気がします。