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各地で行われた制作者フォーラムの模様を、参加者の声を交えて伝えます。

2018年12月26日

もっと  制作者フォーラム in ふくおか

レポート+寄稿

 2018年12月1日(土)、NHK福岡放送局よかビジョンホールにて、九州放送映像祭実行委員会と放送文化基金が主催する「九州放送映像祭&制作者フォーラム」が開催されました。
 このフォーラムには、九州・沖縄の全民放テレビ局とNHKが協力、制作者を中心に、約110名が参加しました。
 初めに行われたミニ番組コンテストには、31作品が参加。審査員の阿武野勝彦さん(東海テレビ役員待遇プロデューサー)、佐々木聰さん(山口放送テレビ制作部チーフプロデューサー)、吉崎健さん(NHK熊本放送局チーフディレクター)が講評を述べました。
 引き続き、コーディネーターに大村由紀子さん(RKB毎日放送テレビ制作部)を迎え、「番組制作のツボ『突破口を探せ!』」をテーマにトークセッションが行われました。
 はじめに、大村さんより「取材に行こうと思ったら断られた!さあどうする?」というお題が提示され、阿武野さんは「最初は悲しい気持ちになっていたが、最近では取材を断るということはその方がお宝を持っていて簡単には見せたくないのだと前向きに捉えるようにしている。」佐々木さんは「取材を断られたことはあまりないが、それはOKがもらえるまで何度も足を運んでいるから。こちらが真剣なら相手も真剣になり誠意に応えてくれる。」吉崎さんからは「先週取材を断られたばかり。断られるときは理由がある。相手を尊重することが大事だと思うので、その場合は時間を置くようにしている。」と自身の経験をふまえて意見が出されました。
 その後も参加者からの事前質問に答える形で、番組制作の上で大事にしている視点やテレビを取り巻く環境の変化についてそれぞれの考えや手法などをお話いただき、『突破口』のヒントを伝授していただきました。
 懇親会ではそれぞれの審査員と話したい若手制作者の列もできるほど盛り上がりました。

 ミニ番組コンテストでグランプリを受賞した両角竜太郎さん(RKB毎日放送)、審査員の吉崎健さん、実行委員の大村由紀子さんに、フォーラムの感想をお寄せいただきました。

グランプリ受賞者
「各制作者より刺激をいただき心新たに」
両角竜太郎(RKB毎日放送)

 RKBの映像部では年間テーマを決めリポートを制作しています。今年のテーマは「受け継ぐ思い」。各カメラマンが企画・撮影・編集を担当するカメラマンリポートです。
 福岡県朝倉市甘木。昨年、九州北部豪雨の被害を受けた地です。このリポートはかつてこの地にあった藍染・甘木絞りを復活させようと活動する女性を追ったものです。同じく地元に続く祭り、甘木祇園山笠も昨年は豪雨の影響で中止に。ふるさとに元気を取り戻すべく今年は開催を決め、今、復活を遂げようとする甘木絞りで祭りの法被を染めたのです。ふるさと、祭り、甘木絞り。合言葉は「復活」でした。
 故郷を愛する甘木の人々は、伝統を守りふるさとを復活させたいという思いをカメラの前で熱く語ってくれました。編集は現場の音、インタビューで構成し、結果的にナレーションはなくなりました。規定の5分以内にまとめることができていたのか?不安もありましたが、この受賞を甘木の方々へご報告したところ涙ながらに喜んでくださり、一緒に噛みしめています。
 フォーラムで拝見した各局の作品やトークセッションから新鮮な刺激をいただき、あっという間に過ぎた充実の1日でした。今後もこの賞に恥じぬよう精進していく所存です。ありがとうございました。

ミニ番組コンテスト審査員
「突破口を探す旅に終わりはない」
吉崎 健(NHK熊本放送局 チーフディレクター)

 大変でしたが、楽しい一日でした。当日、うまく言えなかったこと。どこまで取材相手に踏み込むかという話は、例えば被災者の思いを伝えようとする時、こちら側の都合で、相手を傷つけてまで踏み込んだり、暴いたりはしないようにしています。何のために番組を作るのか。本末転倒では意味がありません。相手が巨大な組織や行政、追求すべき相手などはまた別です。今回、受賞しなかった方々も、悲観する必要はありません。その差は、ほとんどないです。今回の映像祭は、スタートであり、いい刺激を受けたと、前向きに受け止めてもらえればと思います。突破口の話は、答えがあって、教えてもらうものではなく、私も含め制作者一人一人が、その時その現場で考え、もがき苦しみながら、道を切り拓き、突き進んでいくしかないと思います。お互い、頑張りましょう!

実行委員
「横につながって突破口を探そう」
大村由紀子(RKB毎日放送 テレビ制作部)

 名のある制作者の方々は、どうやって番組を作っているのだろう。直接聞いて、みんなで語り合いたい!今年は、そこからスタートして、ミニ番組コンテストの審査員を全員、作り手の方にお願いしました。
 「突破口を探せ!」をテーマにしたトークセッションでは、取材相手との関係の築き方、公平性についてなど、会場の制作者からも、「お悩み相談」的な質問が多く寄せられ、お三方にそれぞれのご経験からお答えいただきました。共通して語られたのは、何を作るべきなのかは、常に自らに問い、悩みながら、誠実に取材対象と向き合って進んでいく、ということだったように思います。
 制作環境が厳しくなる中、私たちの突破口となるのは、こうした制作者同士の横のつながりではないかという、審査員のおひとりの言葉に、開催の意義があったと感じています。