もっと 制作者フォーラム in なごや
レポート+寄稿
2019年11月13日(水)、中京テレビ放送プラザCにて、愛知・岐阜・三重制作者フォーラム実行委員会と放送文化基金が主催する「愛知・岐阜・三重制作者フォーラムinなごや」が開催されました。
フォーラムには、愛知・岐阜・三重3県にある全民放テレビ局とNHK、計10の放送局が協力し、制作者を中心に約120名が参加しました。
初めに行われたミニ番組コンテストには、10作品が参加。審査員の大島新さん(映像製作会社ネツゲン 代表)、 渡邊貴さん(フジテレビジョン ニュース総局 情報制作局 情報制作センター部長 朝番組統括 とくダネ!チーフプロデューサー)、 上出遼平さん(テレビ東京 制作局 プロデューサー・ディレクター)が、上映された10作品についてそれぞれ講評を述べました。
引き続き、事前に参加者から募った悩み・疑問などをゲスト3人がこれまでの経験を踏まえて答えるかたちでトークセッション「テレビのこれから」が行われました。 <どんなクリエイターが生き残るでしょうか?>では、「皆それぞれ得意なことが何かしらあるはずで、それと世の中が何を求めているのかを見極めてバランスをとること。そこに社会的な意味や今なぜこれが必要なのかをすり合わせてモノづくりが出来る人。」「熱!誰かひとりの人間の強い思いというものが伝わっていくと思うので、作り手の熱が一番大事」という答えがありました。
<日頃どんなインプット方法を実施されているか?>では、「本を読んだり、映画を見たりしてノートをとっている。自分が何に心打たれたのか。自分にとってそれが何だったのかということを言語化することで定着させる。」「インプットは絶対に必要で、モノづくりのクオリティがどのぐらいになるかはその量次第だと思う。」「人に勧められたものは絶対に見たり、読んだりしている。自分の好きなものばかりだと、どうしても世界が狭くなってしまう。」との意見がありました。
その他にも個々に対する質問などにも答えていただき、会場に集まった若い制作者たちは熱心に話を聞いていました。
ミニ番組コンテストで優秀賞を受賞した中のお一人、中世古鋭児さん(名古屋東通企画/CBCテレビ)、ゲストの大島新さん(映像製作会社ネツゲン 代表)、実行委員の吉田太一さん(中京テレビ放送 編成局編成部)に、フォーラムの感想をお寄せいただきました。
中世古 鋭児さん(名古屋東通企画/CBCテレビ)
「セミの抜け殻を稀に建物の壁や車のタイヤに見ることがあるが、地上に生まれて出てきたばかりのセミが、そこに人がいたら、足を伝って体のどこかに定着し、羽化することはあるのだろうか?」
夕方のニュース・情報番組で虫を扱うことへの不安はありましたが、『ディレクターが体験して伝える夏休みの自由研究』としてこの疑問の答えを導き出せれば、夏休み中の小学生とその親に対して、テレビで伝える意義はあるはずと調べることにしました。当然、“命をもて遊ぶということがないように”を大前提に、真面目にセミの羽化と向き合った企画です。
放送後、視聴者からは「生命の神秘に触れた」などの嬉しい感想を頂きました。
日々知恵を絞り出すのに腐心していますが、この回は、愚直に調べてみようと真正面から挑んだことが、功を奏したと考えています。
大島 新さん(映像製作会社ネツゲン 代表)
ミニ番組コンテストの審査員として参加した愛知・岐阜・三重制作者フォーラム。このような試みが行われていることをこれまで知らなかったが、参加してみると実に有意義な会だった。ニュースや情報番組のコーナー企画としての10本のVTRを観たが、いずれも若い作り手の熱や思いが伝わる作品ばかりだった。感想を述べながら、ディレクターや記者の方の汗に思いをはせ、「今後の役に立つことを、気合を入れて言わねば」と身が引き締まった。テレビの未来については、なかなか希望が見いだせないという論調で語られがちだ。しかし、強い思いを持った作り手がいれば、必ず道は開けると信じている。そのためには、組織に属していようが、「個人商店」であることが大切だ。個人個人の本気の意志だけが、観る者の心に深く届くのだ、と若い作り手に伝えたい。
吉田 太一さん(中京テレビ放送 編成局編成部)
どの局も若手ってもれなく忙しくて、きっと他局の若手制作者の作品まではなかなか視聴できていないと思うんです。そんな彼らにとって“自分の位置”を再確認し、刺激を受け、厳しくも励みになるアドバイスまでダイレクトにいただける。いや~このフォーラム、本当にいい場だなあ・・・心からそう思いました。
それから「若手制作者に期待することは?」という質問への「2次利用しやすいコンテンツ、とか、そんなことを考えなくていい。面白い!と思えることを突き詰めるべき!!」という審査員の皆さんのお答え、これは会場にいた多くの方に激しく刺さりまくっているのが見えました(笑)
フォーラムも夜の懇親会も定刻時に「時間が足りない・・・」「終わりにくい・・・」運営側は正直そんな思いを味わいました。スカスカでなく、そのくらいパンパンに中身の詰まった時間でした!