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各地で行われた制作者フォーラムの模様を、参加者の声を交えて伝えます。

2023年12月11日

もっと  制作者フォーラム in ふくおか

レポート+寄稿

 2023年11月25日(土)、NHK福岡放送局よかビジョンホールにて、九州放送映像祭実行委員会と放送文化基金が主催する「九州放送映像祭&制作者フォーラム」が4年ぶりにフルスペックで開催されました。
 このフォーラムには、九州・沖縄の全民放テレビ局とNHKが協力、制作者を中心に、約60名が参加しました。

 初めに行われたミニ番組コンテストには、多様なテーマで33作品が参加。ミニ番組を順に視聴し、それぞれ制作者がエントリーの番組のセールスポイントを話した後、審査員の横山隆晴さん(近畿大学客員教授)、村瀬史憲さん(名古屋テレビ放送報道情報局報道センタースペシャリスト)、三村忠史さん(NHKプロジェクトセンター NHKスペシャル統括)が一つ一つの番組について講評を述べました。

 33作品の評価を終え、審査員の3名とコーディネーター役に山口喜久一郎テレビ西日本アナウンサーを迎え、「トップクリエーターの仕事術」をテーマに、トークセッションを行いました。3人のパネリストから、ネタの探しの方法、取材活動、編集方法など番組作りに関するヒントを伺った。

 編集方法について、村瀬忠憲さんは、「編集に行き詰った時は、撮ってきた素材を何度も繰り返し見るようにしている。素材が持っているメッセージを信じてそれを生かすように繋いていく。」とアドバイスした。横山隆晴さんからは、「CMに入った時にザッピングされないように、視聴者が感動するシーンを必ず1,2つ入れる。読後感のような余韻をもってCMに入ることを意識して作っている。テレビは、音50%、映像50%と考えているので、視聴者には、映像だけでなく音や音楽でもサービスする。ドキュメンタリーだからと言って地味ではいけない。1時間番組なら、視聴者に飽きない1時間の旅をしてもらうことを考えて作っている。」と日頃ドキュメンタリー番組を観ない人たちにも見てもらえるような工夫が必要だと語った。三村忠史さんは、「新人の時は、様々な番組を見ながら、その番組の構成をポストイットに書き出して大きなボードに貼るという作業をしていた。これは、自分の引き出しを増やす作業になる。今でも編集に行き詰った時、この経験が今も役立っている。」また、「番組の大小問わず、編集に迷ったとき、この番組の核は何か、ということを確認しながら構成を固めていく。漠然と繋ごうとしても繋がらない。今日のミニ番組も必ず1個は核がある。それがインタビューなのか、表情なのか、撮れたルポなのか。それが何かということを見極めた時、編集がスムーズに進むと思う。」などの自身の経験談を含めて語っていただいた。
 4年ぶりの懇親会&表彰式では、時間が許す限り、制作者同士がお互いのミニ番組ついて質問・意見しあうなど、フォーラムは盛況のうちに幕を閉じた。

 ミニ番組コンテストでグランプリを受賞した鹿児島テレビの宇木千沙さん、審査員の横山隆晴さん、九州放送映像祭&制作者フォーラム実行委員の西林武志さんに、フォーラムの感想をお寄せいただきました。

グランプリ受賞者
「それぞれの瞳」
宇木千紗(KTS鹿児島テレビ 報道制作局制作部)

私は編集マンとしてこの作品に携わりました。
直接、島の人達に会ったことはありません。
でも、私の心は島の人たちの瞳に釘付けでした。
夢を語る中学生のまっすぐな瞳、
あふれる涙を隠しきれない母の瞳、
島を出たらもう生活を共にできないかもしれない、それでも見送るしかない祖父母の寂しそうな瞳。
この風景を見たときに、
18歳の私を送り出してくれたときの親や祖父母の気持ちを
知りました。こんなに切ない感情で身を切る思いで、
「行ってこい」と送り出してくれたのかと。
家族、友人、恋人、大切な人への感謝の気持ちが沸々と沸いてきました。
今生きることが苦しい人、孤独を感じている人に届くといいな―そんな思いを込めて制作しました。
そんなことを思い起こさせてくれた島の人たちの優しい瞳を忘れずに今後も番組制作に向き合っていきたいと思います。

ミニ番組コンテスト審査員
「九州・沖縄の若者たち」
横山隆晴(近畿大学客員教授)

 未来を変えていくのは若い人たち。未来を拓き、未来を支えていくのも若い人たち。  福岡に集まった若いテレビ・クリエイターたちのキラキラした目の輝きと佇まいに終日、胸を打たれた。
 各テレビ局それぞれの制作者たちが挑んだ5分尺の映像。32作品の連続上映。テーマは多岐に亘り、どの作品も圧巻だった。
 私が若かった頃、これほどの制作センスを自分は持っていただろうか.........と内心、自らに問いかける。「否」。
 若い人たちを信じ、私たち年配者は〝講釈〟するのはほどほどにして、引っ込んでいた方がいいのだ。自戒を込めて彼らの新しい感性を決して邪魔することのないように。
 テレビ業界に吹き荒れている逆風に立ち向かいながら、懸命に現場の最前線に立っている彼らの姿こそが最も尊い。若い制作者たちがテレビの未来をきっと拓いていってくれる。九州・沖縄の若者たち.........清々しいほどの希望を感じさせてくれた。感謝!

実行委員
4年振りのフルスペック開催!
「やっぱりテレビは面白い」

西林 武志(テレビ西日本 制作部 部長)

 2023年11月25日(土)、NHK福岡放送局よかビジョンホールにて、九州放送映像祭実行委員会と放送文化基金が主催する「九州放送映像祭&制作者フォーラム」が開催されました。
 表彰式 兼 懇親会も含めた、4年ぶりのフルスペック開催となった今年。毎年恒例のミニ番組コンテストでは、九州・沖縄の放送局から出品された33作品が凌ぎを削りました。
 会の終盤では、ゲスト審査員3名によるトークセッション「トップクリエーターの仕事術」も開催。取材ネタの探し方から、編集のテクニックまで、3人のトップクリエーターがどういった目線で、どんな事を心がけているのかを三者三様で語って頂くなど、非常に貴重な場となりました。
 テレビ離れが進み、業界全体の先行きに不透明感が漂うなか、作り手の溢れんばかりの熱量と、素晴らしい作品の数々が、「やっぱり、テレビって面白い!」そう再認識させてくれる、素晴らしい会となりました。