もっと 制作者フォーラム in よなご
レポート+寄稿
2024年9月27日(金)、米子コンベンションセンター国際会議室にて、中四国制作者フォーラムが開催されました。若手制作者を中心に約50名が集まりました。
ミニ番組コンテストには、20作品の参加があり、一作品ずつ審査員からのコメントを出品した制作者たちは熱心に聞いていました。
その後、「ローカルのばか力!~SNS時代の突破力~」をテーマに審査員の錦織良成さん(映画監督・脚本家)、圡方宏史さん(東海テレビ プロデューサー)、須賀久彌さん(株式会社TVer 取締役)によるトークセッションが行われました。
「ローカルと中央という言葉はもう古い」「取材者が見えてくるものが、良い意味でひっかかる作品が多かった。若い皆さんの方が自分の温度感を入れながら取材できるのではないか。そこに可能性があると思う」「若い人だからこそ型にはまったものを作らない。置きにいかないで欲しい」などのアドバイスがありました。
質問タイムでは、「テレビを持っていない友達も多い。どうしたら作品に出合ってもらえるのか?」という問いに、「20代の若手制作者には、そんなことは考えずに自分の作品を磨くことを頑張って欲しい」と。「テレビだからこそできることはありますか?」という問いには、「テレビ、YouTubeのメディアではなくテレビ局だからできるYouTubeを考えたらどうか。ユーチューバーにはテレビ作れないので」「若い人にはYouTubeとかSNSを活用して欲しい。そしてそれをテレビに逆輸入してほしい」との意見がありました。
時間が足りないほどたくさんの質問があり、若手制作者の熱を感じるフォーラムでした。最優秀賞、優秀賞を受賞した制作者たちは来年2月15日の「全国制作者フォーラム2025」に招待されます。
「自閉症のアニマル画家」を制作し、ミニ番組コンテストで最優秀賞を受賞した乗松凌太さんから番組についての思いを。審査員の圡方宏史さん(東海テレビ プロデューサー)、実行委員会代表の宮本忠明さん(山陰放送)のお二人にフォーラムの感想をお寄せいただきました。
乗松凌太さん(南海放送)
ディレクターとなり4年、日常の番組制作と並行して追いかけてきた石村嘉成さん。石村さんは幼い頃から大好きな動物の姿を見つめ、毎日描くことを本当に楽しんでいます。そんな嘉成さんを撮影することは、ワクワクにあふれる時間です。と同時に私も日々の業務に追われ、忘れがちな楽しむ姿勢を改めて感じさせられる時間でもあります。
今回、最優秀賞に選んでいただきましたが、出品作品には様々なキャラクター、切り口での企画がたくさんありました。制作者は同世代、しかも私より若い人がほとんど…。自分には考えたこともない企画もあり、若い人に負けないよう勉強し続け制作に励みたいと思いました。
今回のテーマ「ローカルのばか力」あったように、地方局でないと発掘できない光る人々を取材し、全国に発信できるよう取り組んでまいります。
圡方 宏史さん(東海テレビ プロデューサー)
初めて訪れた山陰地方で若手制作者の皆さんの作品を拝見しました。6分という尺は、1分や10分よりよっぽど難しい。その中で、起承転結を作って、作り手の主張を感じさせ、あわよくば笑いポイントを1箇所ねじ込むなんていうのは、ベテランディレクターでも至難の業かと思います。そのため、元々ニュース用に作った長尺企画を短縮したものの中には、コメントやシーンを落としすぎてメインの取材対象の存在が薄くなっているものや、制作者の思いが省かれているものもあり、自分だったら6分に何を入れ込むだろうと考えさせられました。
そんな中、コンテストの上位に選ばれたのは、限られた枠の中で必要項目をしっかりと入れ込んだ巧みな作品や、得体の知れない熱量と「なんだかよく分からないがとにかく面白かった」と言わせるVTRでした。特に記憶に残っているのは、ツッコミどころはあるけれど、理屈を超えて面白がらせる後者のほうで、自分たちの年齢では計算が先に立ってできない若者たちの“突っ走る熱”を感じました。
成熟しきったテレビ業界では、そんな「やみくもな熱意」が「未熟」とされがちですが、「よくわからないけど記憶に残る何か」こそが今のテレビには必要だと感じます。若手制作者の皆さん、どうか安易に型にはまらず、“説明できないけどなぜか惹きつけられてしまう”取材対象や“大勢の人には見てもらえないかもしれないけど誰かが強烈に喜んでくれるかもしれない”企画をこれからもどんどん出してください。
宮本 忠明さん(山陰放送)
コロナ禍となって以降、今年は初めてリアル開催とし、懇親会も開きました。ご尽力していただいたすべての皆様に感謝を申し上げます。
1次審査通過は21作品。事務局の役得で最初に全作品を鑑賞して、衝撃でした。作品をより多くの人たちに観てもらいたい!自分も若くはないけど、もう1度、映像作品を作ってみたい!そんな思いに駆られながら、日常のデスク業務をほったらかし、準備にまい進しました。至らない点も多々ありましたが、当日、ゲスト審査員3名の厳しくも温かい言葉を真剣に聞く制作者の姿をみて、幹事を担当できたことを誇りに感じています。
いま思うのはこのフォーラムは晴れの舞台でもあると同時にこれからの準備でもあるということです。フォーラムが成功と言えるかどうか、参加した制作者1人1人の今後の活躍を強く願っています。