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各地で行われた制作者フォーラムの模様を、参加者の声を交えて伝えます。

2024年12月26日

もっと  制作者フォーラム in なごや

レポート+寄稿

 2024年12月4日(水)、愛知芸術文化センター 小ホールにて、愛知・岐阜・三重制作者フォーラムが開催され、若手制作者を中心に約80名が集まりました。
 ミニ番組コンテストには、10作品の参加があり、一作品ずつ審査員からの質問やコメントがありました。

 その後、「若手制作者に伝えたいこと」をテーマに審査員の佐野亜裕美さん(ドラマプロデューサー)、高橋弘樹さん(映像ディレクター)、丹羽美之さん(東京大学教授)によるトークセッションが行われました。

“武器を磨け” “基本を身につける” “インプットが大事”
 まず、「若手制作者に伝えたいこと」とはという問いに、佐野さんは、ドラマプロデューサーを目指していた自身の若手時代の経験として、「自分の好きなこととドラマ制作の現場で生き延びるために磨くとよいことの重なる部分を探し、結果的にたくさんの海外ドラマや映画、人が見ないような演劇を見て、それに詳しくなることを武器にした」と語り、「みなさんも20代から30代前半のうちに自分の武器を見つけて磨いて欲しい」と回答しました。高橋さんは、「テレビ局にはカメラマン、編集マン、音効さん、先輩もいて、全ての基礎を学ぶにはとても適した場所で、若い時に基本を身につけることが大事」と答えました。丹羽さんは、「テレビ研究者としての若手時代には古いテレビをアーカイブでたくさん見て、それが今の番組を見る目につながっている」と、若い時にインプットすることの重要性を伝えました。
 また、「良いVTRとは?」との問いには、「奇跡が撮れているもの」「新しい見たことのないもの」そして、どこかに誰の熱でもいいから「熱があるもの」という回答がありました。
 審査員とミニ番組を出品した若手制作者のやりとりを交えた進行で、会場にも“熱”があるトークセッションとなりました。
 

 『キャッチ!特集「ひやむぎ選手権」を制作し、ミニ番組コンテストで優秀賞を受賞した齋藤竜星さん、審査員の佐野亜裕美さんからフォーラムの感想をお寄せいただきました。

優秀賞受賞者
「協力いただいた方々に感謝」
 齋藤 竜星さん(中京テレビ)

 この業界に入ってから、このような賞とは無縁の人生だと思っていたので、今回の受賞にはとても驚いています。
 他の受賞作品は、どれもレベルが高く面白く拝見させていただきました。
 その中で賞をいただけたのは、ひとえに「このVTRに携わっていただいた多くの方のおかげ」だと考えています。取材に快くこたえてくださった取材対象者、プロデューサー、相談にのってくださった先輩、カメラマンなど名前を挙げたらきりがありません。その代表者としてステージに上がれたことをとても光栄に思います。
 振り返れば、中京テレビ報道局に配属されてから“変なイベント”の取材を何度もさせていただきました。今回受賞した「ひやむぎ選手権」も、いつもの業務の一環として取り組んだものです。その作品がこのような結果に結びついたことはこれからの励みにもなり、とてもうれしく感じています。

ミニ番組コンテスト審査員
「人間の営みを映し出すこと」
佐野 亜裕美さん(ドラマプロデューサー)

 ドラマという完全にフィクションの世界に生きる私が、報道・ドキュメンタリーのミニ番組というノンフィクションの審査をして良いのだろうか?と参加する前にはとても不安でしたが、若手制作者の皆さんの熱のこもったプレゼンテーションに聞き入り、作り上げたVTRの一つ一つに、時には涙しながら見入りました。予算も時間も限られているであろう中で、この地で取材を続けている人たちだからこそ撮れるものが、それを見つめる制作者のまなざしと共に表現されていたと思います。ついつい、「これがドラマだったら…」という目線で審査をしてしまった部分もありますが、人間の営みをどう映し出すか、という点ではフィクションもノンフィクションも共通するところがあるのかもしれません。また参加することができる機会を楽しみに、私も頑張っていこうと思います。