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各地で行われた制作者フォーラムの模様を、参加者の声を交えて伝えます。

2020年3月23日

全国制作者フォーラム2020~参加者の声~

寄稿

 2020年2月22日(土)、東京で「全国制作者フォーラム2020」を開催しました。
 開催内容はこちら

 フォーラムで司会をしていただいた、直川貴博さん、ミニ番組のゲスト賞を受賞した方々に感想をいただきました。

フォーラム司会
「テレビって、まだまだ凄い!」
福島中央テレビ 直川 貴博

 焦りに、気づき、高揚感と・・・様々な感情が駆け巡る感覚を憶えました。
 全国から寄せられた優秀作品の視聴に幕を開けた「全国制作者フォーラム2020」。 それぞれにディレクターの惜しみない“こだわり”が込められていました。 現在、私はアナウンサーとして報道部に所属し、震災9年の特別番組を間近に控えての参加で、編集作業の真っ只中にありました。その最中で拝見した力作の数々、画面に惹きつけられ高ぶるあの感覚。「テクニックを1つでも盗んで帰らねば!」とメモと化した私の司会台本は真っ黒になり・・・歴然と突きつけられた力の差に、噴き出す汗が止まりませんでした。
 また会場にはジャーナリズムを学ぶ大学生の姿もあり、参加者も一体となって『テレビの今』が語られました。時に斜陽産業と揶揄されるテレビ業界ですが・・・「これは大転換期なのではないか」と展開されゆく議論。まだ見ぬテレビの可能性を感じさせられました。
 若手のテレビマンも集い「テレビを盛り立てたい」と熱い志を、地域や系列を超えて共有する。メディアの一端に携わる者として、これからも「伝える」に奮闘していきたいと、福島に戻りました。

斉加賞受賞
「全国制作者フォーラムに参加させていただいて」
山形放送 伊藤 翼

写真左側(斉加 尚代さんと)

 全国から集う若手制作者のミニ番組を視聴して意見を交わす「全国制作者フォーラム」で過ごした時間は刺激に満ちたものでした。地域によって特色の違いが色濃く出る番組の傾向、取材に臨む制作者の視点と姿勢など、さまざまな面で今の自分には無い物を突き付けられた機会となりました。
 取材対象をとおして地域に生きる人間を丸ごと描こうという気概にあふれた作品、自分たちが面白いと思ったことを伝えようという熱量が見る側に伝わる作品など、被写体との距離の詰め方に躊躇いを感じながら日々取材している自分にとって、驚きの連続でした。
 私が制作した「戦争の語り部たち 言語学者の半生」は、戦前の山形で起こったひとつの思想弾圧を取り上げた企画です。県内でさえあまり知られていない歴史の悲劇が、全国で活躍する制作者の目にはどのように映るだろうかという心配がありましたが、ゲストの方々の「報道の原点」、「ぞわっとした思いで見た」といったコメントから自信をもらいました。さらに「自分がなぜこの問題を面白いと思い、取材したのか」といったプロセスを、改めて見つめなおすきっかけになりました。
 各地の制作者たちの熱気に負けないように、これからよりいっそう熱く、悩み、また楽しみながら、取材に臨んでいきたいと思います。

小松賞受賞
「せっかくのチャンスを・・・」
福岡放送 大石 康允

写真左側(小松 純也さんと)

 「トリビアの泉」「笑犬」の小松さんに、「ヤクザと憲法」の圡方さん。学生時代、テレビって面白いなぁ・・・。そう思わせてくれた制作者の皆様に、自分が作ったVTRを見てもらう。こんな貴重な経験がまさか自分に回ってくるとは、想像だにしていませんでした。お一人ずつから、貴重なアドバイスを頂けた事、本当にありがたく思っています!
 今回、私が作った「崖っぷち九大相撲部」。頭でっかちな理系力士の奮闘を、笑いながら見て頂き・・・最後には「九大相撲部を応援したい!」そんな気持ちになってくれれば、と思い制作しました。皆様に、自分が面白いと思った事が受け入れられるのか・・・。とても怖くて、ゲスト4名のリアクションを確かめる度胸を、私は持ち合わせていませんでした。せっかくのチャンス、記念に少しだけでも盗み見しておけばよかった・・・と、フォーラムを終えた今、少しの後悔が・・・。来年参加される方は、勇気を持ってチラ見する事をお勧めします!

圡方賞受賞
「自由な発想を持ち、それをしっかりとプロのテクニックで着地させる・・・。」
CBCテレビ 中世古 鋭児

写真左側(圡方 宏史さんと)

放送エリアを超え、全国の制作者が集結・・・。
エリアごとに作品の色は異なり、
どの作品も素晴らしく、熱を感じるものばかりで、
一制作者として刺激を受けました。
また、いまのテレビ界を代表するゲストの皆さまに
自身の作品を講評して頂けたことに大きな喜びを感じました。
講評の中でゲストのお一人に
『自由な発想を持ち、それをしっかりとプロのテクニックで着地させる』
というお言葉を頂きました。
当たり前のことだとは思いますが、改めて言葉として突き付けられると
自分はこれを意識して作っていたんだろうかと考えさせられました。
トークセッションの「テレビのいまを語る」では、
テレビを取り巻く環境が決して良いとは言えないなかでも、
制作者としての「直観」や「好奇心」と真摯に向き合い、自分が伝えたいものを
しっかりとカタチにすれば、視聴者はついてくる、
そんなメッセージを頂いた気持ちになりました。
どんな時代においても、楽しいと思えるテレビを作れる制作者でいたいです。

丹羽賞受賞
「自分の“直観”を信じる」
テレビユー福島 古内 まり子

写真左側(丹羽 美之さんと)

 丹羽賞いただきありがとうございました。
 女性刑務所は、当時、報道部のENGカメラマンだった私の初めての特集でした。
 土曜夕方の某報道番組で放送されていた刑務所特集を見ながら、「こういうの見入っちゃうよね~、やってみたいよね~。」と、全くの興味本位からのスタート。刑務所に企画書を何度も出し直し、「まさか受刑者にインタビューしようなんて思っていないよね?」「居室(受刑者の部屋)撮るなら空部屋でいいでしょ?」、刑務所とのそんなやり取りを何とか交渉し・・・、あれっていつやるの?と社内で心配されながらも放送することが出来ました。結果、一つの特集に半年もかかってしまいましたが(笑)
 印象に残ったのは小松さんのお話の中であった「直観を信じる」ということ。理屈からではなく思い付きを拾う。興味本位であったり、これ面白そうだからやってみっぺ、でいいんだろうなと思えました。
 今回はミニ番組でしたが、次回は、30分、いつかは1時間へ進む励みになりました。このような機会を作っていただき改めて感謝申し上げます。