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HOME読む・楽しむ『ルイスとロバの英語教室』受賞リポート   マリア・ディアス

読む・楽しむ 日本賞企画部門特集
日本賞の企画部門の最優秀賞/放送文化基金賞の受賞者へのインタビューを掲載します。

2015年11月26日

インタビュー

第42回「日本賞」教育コンテンツ国際コンクール【企画部門】 最優秀賞企画

『ルイスとロバの英語教室』受賞リポート

マリア・ディアス さん

 NHKが主催する第42回「日本賞」教育コンテンツ国際コンクールが開催され、当基金が賞金のスポンサーとして参加する企画部門には、18の国・地域の36機関から、46企画の応募がありました。この部門は、予算や機材などの条件が十分でないために番組制作が困難な国・地域の放送局や制作プロダクションなどの、優秀なテレビ番組企画を表彰し、番組として完成させることを目的としています。
 最終選考に残った5つの企画から、プレゼンテーション審査を経て最優秀企画に選ばれたのは、アニマトロポ(コロンビア)マリア・ディアスさんの企画 『ルイスとロバの英語教室』。10月22日に開催された授賞式で、末松安晴理事長からディアスさんに、「放送文化基金賞」として賞牌、賞金10,000ドルが贈られました。
 『ルイスとロバの英語教室』は、コロンビアの自然や文化、音楽など子どもたちにとって理解しやすい世界を活かしながら英語を教えることで、子どもたちが無理なく英語を身につけることをはかる、教育番組の企画です。

受賞したマリア・ディアスさんに、授賞式の後でお話を伺いました。

― これまで、どのようなお仕事をされてきたのですか。

マリア

 最初は、民放テレビ局で働いていました。それから、テレビコマーシャルのポストプロダクションに携わり、その後、コロンビアの公共放送に移籍して仕事をしました。そして、2004年に、アニメプロデューサーとしての道を歩み始めました。

― この番組を作ろうと考えたきっかけを教えてください。

マリア

 ルイスさんという教師がいるのをインターネットで知ったのが、きっかけです。Eメールを送って連絡をとりました。彼は、ロバに本を積んで農村地域を訪問し、学校に通えない子供たちにボランティアで本を読んで聞かせる活動をしています。都市圏には学校がありますが、地方の農村地域の子供たちが通うのは困難である自分の国の現実を知って大変な衝撃を受けました。そこで、ルイスさんとこの問題について話し合いを始めました。農村地域の子供たちに英語を教える必要はあっても、彼には良い教材がないという事情が分かり、YouTubeチャンネルでアニメーションを流せば、子供たちを支援できるのではないかという話になりました。子供たちのために、ぜひ実現させようということになったのです。

― 子供たちが教育を受けられる手助けをしたいと思われたのは、何かきっかけがあったのですか。

マリア

 大学生だったころ、休日にボランティアで子供たちに粘土工作を教えていました。粘土を使って動物や恐竜を作り、子供たちに教えることはとても楽しく、クリスマスには貧しい子供たちの住む孤児院を訪ねることもありました。悲しい現実も目にしましたが、どんなことでも吸収しようとする子供たちは素晴らしいと思いました。また、ちょっとしたことを教えても感謝してくれるので、とても心を打たれました。この時、いつか彼らのために何かしようと決めました。

― 番組のスタイルと、番組の放送の方法、予定について教えてください。

マリア

 導入部分でルイスさんの実写映像を使いますが、話の内容部分は、アニメーションです。放送については、ローカル局での放送を考えています。ローカル局は規模の小さなものが12局あり、私の住む都市ではローカルテレビ局との契約がありますが、ルイスさんや子供たちの住んでいる地域ではテレビ局との交渉が必要になります。また、ルイスさんがコンテンツを見せることができるようDVDも作成し、それをYouTubeチャンネルでも流すことができます。

― 作品の完成を楽しみにしています。ありがとうございました。