全国制作者フォーラム2025~参加者の声~
寄稿
2025年2月15日(土)、東京で「全国制作者フォーラム2025」を開催しました。
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フォーラムで司会をしていただいた、小野桃果さん、ミニ番組の野木亜紀子賞を受賞した山形直輝さん、ゲストの前川瞳美さんに感想をいただきました。
小野桃果 テレビせとうち

「この一瞬を撮るために、泥臭い道のりがどれほどあったのだろうか」
全国から集った作品全てに心を鷲掴みにされ、気づけば司会台本は、書きなぐりのメモでいっぱいに。制作者の皆さんの気概、熱意に圧倒され、心に活を入れられているような感覚でした。だからこそ司会者として、番組視聴から講評へ移る間、視聴後の生の感動を言葉にして伝えたい。そんな思いで「脱・予定調和」の司会を心がけました。
そして、地域・系列の垣根を超え議論が進む中、制作者が「届けたい声」を明確に定めること、さらに「届け」と願いながら伝えることの重要性を改めて感じました。入社2年目の今、取材現場に立つたび、伝え方に正解はないという難しさを突きつけられます。自ら進んで暫定解を作ることが求められる中、自分と仲間の感性を信じて、泥臭く言葉と映像に向き合いたい。AIではなく人が伝えることの意義が、ここにあると私は思います。伝え手としての覚悟を新たにさせてくれたこの機会に、深く感謝しています。何倍も成長した姿で、皆さんとまたお会いできますように!
山形直輝 北日本放送

野木亜紀子さん(写真右側)と
日々の業務がこのような形で評価されたことは身に余る光栄であり、身の引き締まる思いです。
出品した『アイスの名店75年の歴史に幕』の生中継は、チームの総力が結集された企画です。「数日後に暖簾を下ろす名店」という繊細で重要な瞬間を映すにあたって、店主ご夫妻の温かいご理解とご協力は不可欠でした。さらに、昔からそのお店の常連だった先輩アナウンサーや現場スタッフ、スタジオメンバーなど、放送に関わる全ての方の力があって初めて形になりました。トークセッションでも話題に上がったように、ひとりでは何も作れないからこそ生まれる「連帯感」はテレビ制作だからこそ味わえる醍醐味だと思います。そして、その熱量や空気感が画面越しに伝わる時の「ライブ感」をこれからも大切にしていきたいです。
系列・地域・ジャンルの垣根を超えて制作者同士で交流する、全国制作者フォーラムは非常に貴重な時間でした。今回得た多くの刺激を胸に、丁寧な取材と取材先への愛情を忘れず、これからも番組制作に真摯に取り組んで参ります。
前川瞳美 日本テレビ放送網コンテンツ制作局ディレクター

「ゲスト審査員」という名目でお呼び頂きましたが、むしろ自分が若手制作者の皆さんから学ぶことばかりの1日だったように思います。
誰にも注目されないような普通の人を描きたいと思う人、自分なりの視点で国際問題に切り込む人、行政の怠慢を追求する人、被災地の現在を追い続ける人。そのすべてにこの社会と真摯に向き合うひたむきさを感じました。
さらに脚本家の野木さん、メ~テレ村瀬プロデューサーの厳しくも的確な講評。「この題材を今描くには目線がステレオタイプすぎるのではないか」「自分の描きたいストーリーにはめ込んでいるだけじゃないか」「本筋と関係のないワードを分かりやすさのためだけにサイドスーパーに入れ続けるのはどうなのか」…などなど。
お笑い番組ばかり作り続けて15年。自分自身が「面白さ」や「分かりやすさ」のために踏みにじってきたものを鼻先に突きつけられたような気がして、ものすごく刺さりました。きっとVTRを制作したディレクター以上に!
会の後半では参加者との質疑応答もさせて頂いたのですが、女性制作者からの「テレビ業界が好きだけど、周りは男性ばかりだし体力的に続けられないかもと悩んでいます」というお悩みがとても印象に残っています。私もそんな葛藤と戦い続けて、そして半分くらい負けながらなんとか縋りついているだけの人間です。でも、まだかすかに残っているテレビの影響力で誰かの心を動かせた時の「まだ自分にできることがあるかも」という傲慢な勘違いが仕事を続けられている理由かもしれません。 とはいえそんな精神論ではなく、テレビ業界に女性が増えてほしい!!
パワーウーマンじゃなくても続けられる業界にしないとな、と改めて思わせて頂きました。